「え、」


そーくんが出ていった扉に立っていたのは



「渡、くん」


渡くんは。まっすぐこちらに向かってくる。



「お前、正直に自分の気持ちぶつけたのか?」

「……話した、よ。全部……そーくんって、わかってから、だけど」


「違う。お前の想いの方だよ」

え、と顔をあげると。


芯の強い瞳と目が合う。


「お前は奏士の言い分も聞こうとせずに何勝手に終わらせようとしてるんだよ」


なに、いってんの。


だって、そーくんは



「奏士がなんでお前に話しかけたと思ってんだよ」

そんなの

「……仕返し、でしょ。よくやったよね、そーくんは」

渡くんは、重いため息をついた。

「馬鹿だ。お前本当に馬鹿だ」

「な、馬鹿って」


「気持ちを正面からぶつけろ。これが最後だぞ。わかってるだろ」



わかってる。でも、


そんな簡単に私は言っていいの?


傷つけておいて。