奏〜君に届けたくて〜

「……さっきも言った。自分の言葉で話してくれないことちゃんとはさ」

橘はそこで口を噤んだけど。

一緒にいたくない、でしょ。


知ってるよ。私が一番知ってる。






「……ごめんなさいって。ずっと、謝りたかった」

静かに話し始める。

これが、橘と……そーくんと交わす最後の言葉になるのかな。


「いっぱいいっぱい偉そうなこと言って傷つけて。ずっと気づかなくて。ごめんなさい。本当に、ごめんなさい。それをずっとそーくんに言いたいと思ってたのに」


こんなかたちで、ふられるなんて予想してなかったよ。


「そーくんは私が嫌いなはずなのにさ、今までよくずっと一緒にいてくれたよね」

橘が息を吸い込んだ音が聞こえるけど、構わず話し続ける。

「もう、そーくんの前に現れたりしないから。そーくん、今までずっと傷つけ続けて、ごめんなさい。好きになって、ごめんなさい」


最後なんて泣きじゃくって上手く言えなかったけど。


「なんだよ、それ」

ほら。そーくん怒ってる



「そんな言い方すんなよっ!!!!」