奏〜君に届けたくて〜



静かに鍵盤から手を離す。余韻を糸で引くように優雅に。


一瞬の静寂。


「……これが今の、私の気持ち」


伝わったかな。橘。





橘が息を吸い込む音を聞いて、その言葉を待つ。










「全然、わかんねえよ」