奏〜君に届けたくて〜

余裕が出てきた私は、ちらりと橘 奏士を見て


………………………


ガサゴソ、ガサゴソ


………………………


ガサゴソ、ガサ





「あれー?琴葉ちゃん、なんで中途半端なとこで止めちゃうのー。意味わかんないー」


意味わかんないのはお前だ。そこでさっきから人の演奏ろくに聴かずに何している。
あとどさくさに紛れて私を名前で呼んだよね。気持ち悪いやめてやめて。



「なにーその物欲しそうな目はー」


どんな目だよ。


「おーあったあった」

だから、お前は何を探しているんだよ。

ふざけるな。

私のピアノを聴かないなんて、私の言葉に耳を傾けないのと同義だからね。


「はい」


そういって橘が掲げたのは


「……サックス?」