奏〜君に届けたくて〜



りんね side


「ええっ?!琴葉が奏士に告白ぅ?!!」

「なーに今更驚いてるのよ。千羽は雰囲気で琴葉ちゃんの想い察してたと思ったのに」

「そんなの!全っ然知らないよぉおお!!!」



琴葉が取られちゃうぅう! と未だ落ち着きなく騒いでいる千羽。

なに、これほんとに知らなかったわけ?


意外と2V……鈍いんだね、千羽は。


「ま、あの二人ならどーにかこーにか幸せになるさ」

「あら、由羽はよかったのかしら」

「…………何のことだよ」


もー。わかってるくせに。

「……結局さ。俺は最初から叶うはずなかったんだから。大丈夫だって」

「自分で大丈夫とか言うあたり大丈夫じゃなさそうだけど」


「えっ。なになに、なんの話」

「千羽にはまだ早いかな〜なんてね」

「なにそれ!りんねちゃんのケチ!」


………だって本当だもの。

千羽に……由羽を想っている千羽に、由羽がずっと片思いしてた、なんて話はまだ出来ないわよ。


「はいはい。お子様はお行儀よく椅子に座ってなさーい」

「お、お子様って!落ち着けないのはしょうがないじゃん!!」


わかってる。それは私も一緒。




ふい、と窓を見つめれば。


茜色に染まった空が瞳に映った。



頑張れ。琴葉ちゃん。