奏〜君に届けたくて〜

振り向いて、橘の方を見ようとしたら


橘の瞳が目の前にあった。



艶のある黒色の綺麗な瞳。


男のくせに長いまつ毛が幻想的で。












唇に、温かさを感じた。


数瞬後。柔らかい触感が、私の頭に流れ込んできた。


それは一瞬離れて



また。触れ合って。




「っ」





橘がほんの少し、私の唇を噛んだ。




その痛みで我に返る。