「……そー、くん」


あれ。ここって

旧校舎、


「……あれ」

「やっと起きたかー」

「っ橘?!」

私はどうやらピアノに突っ伏して寝てしまっていたらしい。

「寝顔すごかったぞー」


ニヤニヤしながら顔を覗き込んでくる。こいつ


「っうざい」



橘を押しのけて、私は壁にかかった時計を見た。

長針が五と六の間にある。短針は六と七の間だ。





ん?




「いいいいい今何時?!」

「いが多いよー。六時半になるよー」


嘘でしょ。


「下校時刻は」

「とっくに過ぎてますねー」


「っまじかぁー」


なにこれなにこれ。

「まー。先生達普通ここまで来ないしー。大丈夫じゃない?」

「……それもそう、ね」


あれは全部夢だったのか。