『ことちゃん』


懐かしい、呼び名。

男の子のくせにか細い声。


『そーくん』



私の初恋。 幼馴染だった、そーくん。



『またケンカしたの?』


おどおどしながら、そーくんは私に聞く。


『だってあいつら。私の言い分を全っぜんわかってくれないんだもん。大声でどなってやった!』


『ことちゃんは女の子なんだから、あんまり乱暴しちゃだめだって』


『そーくんこそ。男の子なんだからもーちょっとしゃきっとしなよ!』


『……俺はいいよ。このまんまで』

そーくんってば。俺なんて言い方似合わないのにさ。

『もー。そんなんだから女の子に頼られないんだぞ』


『でもことちゃんは頼ってくれるから。俺は、ことちゃんのためなら何でもするんだ!』


『……そーくん』


嬉しくて、ありがとうー!って抱きついたのを覚えてる。

地毛が薄茶色だからって染めてあった黒い髪の毛。ちくちく私のほっぺたに当たってくすぐったかったな。