最近は特に弾きたい曲もなくて、ピアノ椅子の上でじっとしているのが日課になってしまっている。

あんなに気に入っていたモーツァルトも、私の中では色あせてしまった。



唯一、まだ好きな曲っていったらやっぱり『月の光』かな。



優しくて可憐な月の光。でも、それを作り出しているのは月じゃなくて、煌々と輝く太陽。太陽は光なのに、影で月を支えてる。そこにロマンを感じてる。





ふっと顔をあげると、窓の外の真っ暗な空が目に飛び込んできた。

星明りも、月明かりもない空だけど。


それでも夜空は美しかった。