ぽつりと。呟いてしまったけど。


「どう思う?千羽は」

「ちょ、私にそれ振る?!つっしー!」

「……千羽の意見、聞きたいかも」


かもじゃなくて普通に根掘り葉掘り聞きたいけど、ここはぐっとこらえてそっと聞き出す。







「…………好きってのは。憧れ、かな」




そう、千羽は呟いた。




「なるほどねー。千羽にとっての好きは憧れかぁ」

「えっ。……好きってそれだけじゃないの?」

「まぁ普通はそんなもんよ、飯塚さん。例えば自分にとって命の恩人であったとしたら、それは感謝、とかも好きのうちに入ってくるし。自分を支えてくれる唯一無二の存在って言い方もできるし」





好きは一つじゃない。

それを聞いて、なんだかほっとした。


私にとって"あの子"は。


ちゃんと"好き"だったのかな。と思えたから。