奏〜君に届けたくて〜

『え?』


意味が分からなかった。

本当に何も知らないんだな、と先生は呟いた。

『フレデリックはああ見えて大学四年生の指揮科にいたんだ。初めて受け持った舞台が、今日の、お前の舞台になるはずだった』

しらない。シラナイ。


フレデリックのこと、何も知らなかった。


ただの頭の固い指揮者だと思っていた。



違う。あれが初めてで。




まだ、何も経験がないのに。












私が。あんな風に言うから