いつも他愛ない話を私も先生も話すのに


出発してから10分、20分……


どんなに時間が経っても車内は静かだった。




声を出そうとしても喉で止まってしまう…



―先生をちらって見た。



先生は助手席の窓から外の景色をずっと見ていた…


「そこから右」


「次の信号‥左」


先生が話したのは授業用の言葉…



運転席と助手席の距離がすごくあるような気がした




――その時先生が連続してくしゃみをした。


そういえば先生の声がおかしい…


風邪でも引いたのかなぁ…


――大丈夫?――


そんな言葉さえも私は言い出せなかった…。