「それでは、失礼します」
篠原さんは私たちをマンション前まで送ったあと、丁寧に一礼してから去っていった。
なんとなく車を見送り、マンションに入ろうとすると真紀さんが握っていた私の手を軽く引っ張った。
「何を考えている?」
「何をって……」
真剣に見つめられ、一瞬言葉に詰まる。
「里桜、お前は深く考えすぎなくていい。俺が何とかするから」
「どうやって? ボストン行くの?」
そう聞くが、真紀さんは首を横に振る。
「じゃぁ、別れるの?」
声が震えてしまう。言葉にするのも辛いセリフだ。
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