「どうしたんですか?」
「あー、いや。自然に名前で呼んでくるから、どんな顔をしていいかわからなくて」
照れ笑いを浮かべる真紀さんに、今度はこちらが驚く番だった。
かつては女たらしだった人が、私が名前を呼んだだけで照れたように嬉しそうに笑うなんて想像もしてなかった。
「なんだよ、あんまり見てくるな」
「良いじゃないですか、別に」
にやにやして顔を覗き込むと、後頭部をガシッと掴まれてキスをされる。仕返しとばかりに舌をねじ込まれて深く堪能された。
お陰ですっかり力が抜けた私は真紀さんに寄りかかるように腕のなかに収まる。
それに真紀さんは満足そうに笑った。



