気がつけば、心さんはもうここにはいなかった。気を遣って出ていったのかもしれない。 無言になった私の髪を、藤堂先生はゆっくりと撫でた。 あぁ、やっぱり藤堂先生に触れられると落ち着くしホッとする。ずっとこうしていたい。 「心配はいらない、と言ったところで里桜の不安は拭えないんだろうな。でも、俺を信じて欲しい」 「先生……」 「何があっても、俺のことだけ信じて」 その真っ直ぐな瞳に、大きく頷いた。