「ったく、ふざけんなよ」





ジュースの染みが着いたカーディガンを脱いでワイシャツ一枚になる。 





涼しい。





「つか、アタシ帰るかんね?」




「ちょっと待てよ!!」




「なに?」






名前も知らぬまま終わらすわけいかねぇ。





「名前教えろ、後学年と組」





「1年C組、後藤 百合」





百合────。




俺のなかの何かが動いた。




この意味不な女子が、百合と同じ名前………。





「あんたは?」





「俺は、2年E組。山下満広」
  




何故か自己紹介してるし。





「ん!じゃっ今度クラスに遊びに行くから」




「おい!?これどうすんだよ」






俺から離れていく後藤。楽しそうに笑ってた。








百合。







百合だって。







俺はただただ染み付きのカーディガンを握り締めたまま、意味不な女子、後藤が見えなくなるのをずっと見つめてた。