あの朝一大声告白事件から数日経ってからというもの俺の日常は少しづつ変わり始めていた
朝いつもの様に教室に入ると決まってみんながこっちを振り向く
17年間注目を浴びるなんて事とは無縁だった俺にとってはとても苦痛で同時にとても恥ずかしい
自分の席までの道のりが果てし無く遠く感じ、脂汗まで出てくる
席に着いたからと言ってみんなの視線が止まる事はなく、男女問わずヒソヒソとこちらをチラ見しながら何かを話し込む
正直すっげーーー嫌だ
見ないでほしいしもーなんならいない存在ぐらいに薄くありたいのに
こーゆー時に『何か?』とか言えれば良いのにそんな事すら言えず、とりあえず聞こえてませんよ〜知りませんよ〜雰囲気を醸し出す為に最近読んでる小説を読み始める
とは言ってもやっぱり周りの話し声が気になるわけで…
小説なんて読んでる様に見せかけて全く内容なんて入ってこない
そっと聞き耳を立てながら静かに時間が過ぎるのを待つ
「おっはよ〜」
いつもの様にこの事件の発端の彼女が入ってくる声が聞こえた
そして、新しい日課は
「涼太くん!!おはよ!!」
と挨拶をし前の席に座る
「…三辺さん、おはよ…」
挨拶を無視するなんて事は出来ない
かと言って目を見るのも恥ずかしいから小説から目を離さずに一応、挨拶をする