蓮side




ずっと兄貴の店で住んでたのに



龍華が働いてること知らなかった。







桜月の幹部は大体あの部屋にいる。

ちゃんと倉庫の方にも部屋はあるけどな。
下っ端のみんなも使えるようにしてあるから、
こっちのほうがいい。






蒼「蓮、龍華ちゃん帰るから
暇なら送ってあげたら?」




蓮「…暇…だな。
送ってくる。」











___蓮「龍華、送ってく。」



龍「え、あぁいいよ別に。」



蓮「ここら辺、危ねぇから。」




龍「……。」




ヘルメットを渡し、

バイクに跨る。





蓮「…乗れるか?」





龍「乗れる。」




俺のバイクは大型だ。
普通の女なら乗れないだろう。


でも、龍華はいとも簡単に乗った。





こいつ、バイク乗り慣れてんな。



蓮「普段、バイク乗ってんのか?」



龍「通学に使ってる。
家から遠いし。
学校の近くで止めてるからバレない。」



蓮「バイトはなんで使わねぇの?」




龍「止める場所ないし、
女子高生がんなの乗ってたら、
びびるでしょ。
蒼さんもびっくりしちゃう。」




蓮「…そうだな。
…しっかりつかまっとけよ。」




龍「ん。」







こいつ気に入った。

俺たちに媚を売らず、
素で話してくる。


それに、こいつといると

なぜか落ち着く。





真っ黒なストレートの髪
の間から見える

ガラス玉のような紅い瞳。







暗闇に浮かぶ



紅い月のようだった。