4月12日
今日は始業式だ。
小学2年生になった私は始業式を終え、家に帰るところだった。


家に帰る途中に、並木道がある。
そこには沢山の桜が咲いていて、子供の私からしてもとても感動するものだった。


桜を見ながら歩いていると、突然声をかけられた。


「なぁ、」



私は声のした方に振り返ると、そこには綺麗な男の子がいた。




春風に吹かれふわふわと揺れるさらさらの黒い髪に、くっきりとした黒い目、鼻も高くて、目を惹かれた。



そんな事を考えていると、その男の子はもう一度言ってきた。



「なぁ、」



私は突然の事でどうしていいか分からず、首を傾げていた。



すると、男の子は聞いてきた。



「奇跡って信じる?」



さらに突然の事で頭に沢山のはてなを浮かばせていると、



「信じる?」



と、もう一度聞いてきた。



そういえば、お母さんが前に似たような事言ってたかも…。



「私は、奇跡があるのかは分からないけど、お母さんが、奇跡は信じて願っていれば起きるって言ってたよ?」


私がそう言うと、彼は「そっか…」と何かを納得したようだった。




「なぁ、俺、松本 雪哉(まつもと ゆきや) お前は?」



「私は、白鳥 蕾(しらとり つぼみ)」


「つぼみか…
よろしくな!つぼみ!」


「…! うっ、うん!よろしく!」



「なぁ、俺もっとつぼみのこと知りたい! これから一緒に遊ばねぇ?」



「あっ、遊ぶ!」



「へへっ、じゃあ行こうぜ!」



「どこに?」



「秘密基地!」





そして私とゆきくんは一緒に神社の奥に行った。



秘密基地に行く途中、私が迷子になって、ゆきくんが必死に探してくれて、何とか無事、二人で秘密基地に辿り着いた。



そこで私は、ヤマザクラというとても大きな桜の木を見た。



「わぁ…っ、すごいっ!」



「だろ? 俺今日この街にきてさ、家の準備とか暇だったから一人でこの神社来て、歩き回ってたら見つけたんだ」



「すごいっ、すごいっ!」


「おう!すごいだろ!」


「うん!すごいっ!」


「なぁ、つぼみ。今度からここ、俺達二人の秘密基地にしようぜ」


「する!」


「へへっ、じゃあここで色々話そ」


「うん!」


「ねぇねぇ、ゆきくんって呼んでいい?」



「っ…!、お、おう、いいぞ///」


「やったー! えへへっ」


「なんだよ」


「ううん!なんでもなーい!」


「あっそ、///」


「うん!」









それから私はゆきくんに沢山の事を教えて貰った。
空の事、星の事、雨の事、花の事、ゆきくんが引っ越してきた理由、他にも沢山の事を話した。



気づけばすっかり日が暮れていて、帰る時間になっていた。


「そろそろ帰るか」


「うん」



私とゆきくんは手を繋いで二人で話しながら家に帰った。



途中でお別れすると思っていたのに、中々ばいばいしないから、聞いてみた


「ゆきくんのお家こっちなの?」


「あぁ、つぼみの家も?」


「うん、ここだよ」


「えっ…
俺ん家もここ…」


「え?ここ?」


「うん」


「えっ!となり?」


「隣だったのか」


「えっ、じゃあこれからも一緒に居られるね!」


「そーだな、一緒に居てやる」


「やったー!」


「おい、ここはつっこめよ」


「?…なにが?」


「いや、何でもない」


「そっかーー!」


「元気だな、お前」


「えへへっ」


「なんだそれ、変なやつ」


「じゃあまた遊ぼーね!絶対だよ!」


「おう、またな!」


「ばいばーい!」


それから私は家に帰ってすぐ、今日あったことをお母さんとお父さんに話した。


そしたらお母さんが、よかったねと言ってくれて、すごく幸せな時間だった。




この後起こることに気付かずに…。