ん…

あ、寝ちゃったんだ…

懐かしい夢を見ていた気がする…


チャリ…

あ、ペンダント…

そうだ、これはゆきくんから貰ったものだ…

ゆきくんが居なくなっちゃってから辛くて消そうとしてたから、忘れてたんだ…

ごめんね、ゆきくん…



[持っててくれる限り、地球一周してでも果たしに来るよ]


ギュッ…

「ゆきくん…」


「会いたいよ、会いたい。ゆきくんに会いたいよ…。」

「絶対帰ってくるって言ったのに…
ゆきくんは嘘つきだ、地球一周してでも来てくれるって言ったのに…」

「ゆきくん…ゆきくんっ…」


[つぼみ]



っ!


え? いま、声がしなかった?
何か、桜の木の方から、声がした気が…?




桜の木の前に立っても何も起こらない

当たり前だよね、私頭おかしくなっちゃったのかな…


そういえば、ここ、ゆきくんとの約束の場所…

あの時…


「あの時ゆきくんは、何を言おうとしてたの?」


桜の木に声をかけたところで返ってくるはずも無く…


「ゆきくん…」


サァッ…




…!?
今、何か聞こえた?
やっぱり何か聞こえる気がする


何だろう、すごく、胸が苦しい…

ギュッ…

ゆきくんから貰ったクローバーのペンダントを強く握った時、はっきりと聞こえた気がした。

「つぼみ」


っ…!?

え?今のって…

「ゆ、きくん? ゆき、くんっ?」


気のせい…なの…?

今、はっきり聞こえた気がした。

ゆきくんの声が


ゆきくん…

「ゆ、きくんっ、ゆきくん!」

もう一度ペンダントを握った時だった…





背中を押された気がした。