そんなこんなで、私は今覚醒しそうです。
なぜなら、目の前にお隣さんが来ているからです。
そう…そのお隣さんこそ
「はじめまして、今日から隣の病室でお世話になる北条静也です」
しず君なのである。
とりあえず自己紹介をされたので返してみる。
「はじめまして、私は平川詩優です。院内でわからないことがあれば聞いてください」
初めて会うわけではないけれど、挨拶はしっかりしておこう。
「平川さんって、僕と同い年だったよね?」
「うん、中二だよー」
「あのさ、提案があるんだけどいいかな?」
提案?なんじゃそりゃ?
「提案って?」
「君は僕に院内のこととか君の事を教える。その代わり、僕は君に僕のことを教える。っていうゲームみたいなのなんだけどどうかな?」
ふむ…。
それにしては見返りが少ない。
私は2つ教えることがあって、しず君は1つだけ。
「北条君にもう1つ条件があるよ」
私はこれにかけてみるしかない。

「北条君、私に勉強教えてよ」

沈黙のあとにしず君が口を開いた。
「勉強?」
「そう、勉強!私学校に行けてないから勉強あんまり出来てないんだ。だから北条君にお願いしたいなって思ったんだけど…」
私の頼みはこれだけだし。
やるかやらないかは、しず君が決めることだけど。
「いいよ、勉強教えてあげるよ」