「てんっ……め……!よくもやってくれたな……ッ!」
柳くんは大きくダメージを受けているのか、うつ伏せになりながら顔を上げてこちらを睨む。
「てめェ柳……!!唯に手ェ出すなって言っただろうがよ!!」
え?
……龍と柳くん、会ってたことあるの?
「……龍?」
私が龍の顔をチラッと見ると、龍はしまったとでも言うような顔をした。
「柳くんと、2人で会って話したことあるの?」
一瞬沈黙の間があったが、すぐに龍は口を開いた。
「……あぁ。柳がどうしても怪しくてな。
一度、この唯の学校に入り込んだんだ。
そしたら柳が、連中と話してるの見つけて……
唯のこと、「騙されやすい女でよかったよ」なんて言ってるの聞いて、
いてもたってもいられなくて、柳のことぶん殴ってやったんだ。
それから柳が連れてる連中らとも喧嘩になってな。
あの時野郎どもをぶっ倒して、「唯に近づくな」って言ったんだ。
でも、油断だけはしちゃいけないってわかってたのに……。」
驚いた。
そんなことがあったなんて、思いもしなかった。
もしかして、あの翼の傷は……その時のもの?
「やり合ってた時の記憶、途中から飛んでるけどな……。ったく、めちゃくちゃにやりやがって……!」
柳くんのその言葉に、検討がついた。
やっぱり、龍の傷は柳くんとの喧嘩の時のものだったんだ。
柳くんの傷も、龍とやり合った時のものってことか。
喧嘩の時、翼を出したんだ……。
柳くんの記憶からは、龍のドラゴンの姿のところだけ切り抜かれたってことだよね……。
だから、ドラゴンの姿になったところからはハッキリとした記憶がないんだ。
それだと、やっぱりつじつまが合う。
……龍。このことを隠すために、怪我のこと言わなかったんだね。
龍のことだから、私を怖がらせないように黙っててくれたんだ。
自分の怪我のことを放っておいて……。

