バシィッ!!!
…………!?
右頬に、鋭い痛みが走る。
私の頬に痛みを与えた主は……柳くんだった。
「あーそうそう、言い忘れてた。お前、通報する権利も俺たちを訴える権利もないから。そんなことしてみろよ、命の保証はしないぜ?」
彼は笑った。
どす黒く、不気味な笑みだった。
でも、その目は笑ってはいない。
暗く、黒く、冷たい…………そんな目をしていた。
……あぁ、龍。
やっと、意味がわかったよ……。
過去にした龍との会話が、私の頭の中で回想される。
『あいつ、嫌な感じがすんだよ』
『うさんくさい。怪しい。』
『目の奥が、笑ってなかった』
『何考えてるかわかんねぇ奴だ』
『柳に何か言われても、絶対、その話に乗るな。』
『絶対に、あいつのことを信用するなよ。あいつは……』
『唯、“気をつけろよ”』
龍は、見破ってたのに。
私に忠告してくれてたのに。
龍があんなに何度も言うくらい柳くんに執念深かったのは、柳くんの「黒い部分」に気づいていたからだ。
あぁ。
だから
迎えに来てくれてたの……?
最近毎日、凛と別れるところで待っててくれてたのは……
危険を避けるために
私を守ってくれてたの……?
なんで、気づかなかったの。
本当、馬鹿だ私。
笑っちゃうくらい。
「単純で平和しか知らなさそうな馬鹿」
本当。
柳くんの言う通り。
ごめんね。
龍……。
私……何もわかってなかった。
もっと、ちゃんと聞いていれば。
もっと、ちゃんと考えていれば。
もっと……ちゃんと
龍の忠告を
理解していれば……
……なんて
考えても、もう遅い。
もう……

