「さっきまでのこと、覚えてる?」
「さっき……」
たしか、柳くんと、話してて……そうだ。
告白の返事、したんだ。
それから、柳くんが「握手しよう」って言って、手差し出したら、そのまま引っ張られて……。
それから……それから?
どうなったんだっけ……。
「ふっ……無様な姿。なんで、体がうまく動かないかわかる?これ使ったの」
柳くんが私に見せてきたのは……
「なに、それ」
「スタンガン。」
スタン……!?
私は、今の状況がどうなっているのか頭がついていかない。
柳くんが持つ「スタンガン」は、黒くて、不気味に見える。
「あんたをうまく引き寄せてから、“これ”で首の後ろをバチッとやったわけ。大丈夫だよ、数時間経てばその痺れもおさまるし、死にゃーしねーから。」
「なんで、こんなこと……」
ガチン!
「……?」
起き上がろうとすると、両手首と両足首に痛みが走った。
なに……
手は腰の方にまわっていて、自由に動かすことができない。
足も、膝は曲がるものの足首が引っ付いて動かなかった。
足の方を見ると、足枷がはめられている。
となると、腕も自由に動かせないのは、手枷がはめられているようだった。
「無理無理、ここではあんたの自由はねーよ」
クスクスと笑う柳くん。
なにこれ、なんなのこれ。
「どういうこと……!?ここ、どこなの!?」
「ここはもう使われてない旧校舎。ほら、学校の裏庭から繋がる道を行くと、古い校舎あるのわかるだろ?そこの3階の教室。旧校舎だからな、ここには誰も来ない。助けもな」
旧校舎……?
「お前、笑えるよほんと。マジで俺がお前のこと好きだと思った?んなわけねーじゃん片桐サーン!全部片桐サンをここに連れてくるための、う・そ。なのにまーじでちゃんとした返事考えちゃってさァ?ククク……笑いこらえんのに必死だったっつーの!単純でよかったっつーか?あっさり予定通り、計画どーりに進んだわけよ〜」
なにを……言って……
裏庭を提案したのも……このため?
ていうか、目の前にいる人は……本当に柳くん?
まるで別人じゃない。
こんな不気味な含み笑い……できる人だったんだ……。
「全部……嘘だったの……。騙したの……?」
「騙した?騙される方が悪いんじゃねーの?まぁ、片桐サン平和しか知らなさそうな馬鹿だから、しょうがないかぁ」
「はははっ!」と柳くんの友達から笑いが起こる。
なに……なんで……
「まぁ、そんな平和しか知らなさそうな馬鹿に見えたから、あんたに目ぇつけたワケだけど。」
クイッと私の顎を軽く上げる柳くん。
「どうして……こんなことするのっ」
「どうしてって…………楽しいじゃん?」
……は?

