「え?あ、違う違う。弟!」
「へぇ、弟いたんだ?」
まじまじと龍のことを見る柳くん。
「片桐龍だ。」
「あ、柳光也です。よろしくね!」
気のせいか、龍が柳くんにそっけなく見える。
……というか、睨んでる?
龍、人見知りはしない方なのに。
どうしたんだろ?
柳くんは、フレンドリーに龍に挨拶をする。
だけど、龍はそれに応じようとしない。
龍の目ヂカラが、半端なく強く見えるのは気のせいだろうか……?
「キョウダイだったんだね。全然似てないから、付き合ってんのかと思っちゃった」
柳くんは、爽やかな笑顔で言う。
周りから見ると、やっぱカップルに見えるのか。
よく龍と一緒にいると、カップルに間違われがちなのは確かだもんな。
「似てないのはあたりまえだ。俺と唯は、血が繋がってないからな」
「ちょ、龍!?」
突然、龍が自分のことを言い出してびっくりした。
そ、そんな簡単に言っちゃっていいものなの?
「え、血繋がってねーの?」
柳くんは、やっぱりそう聞いてくる。
「俺は生まれてすぐに山で捨てられてたところを、唯の父さんに拾われたんだ。」
「へぇ。じゃあ、親の顔知らないんだ?」
「おう」
「弟ってことは、今何歳なの?」
「15」
「じゃ、2個下なんだ」
「そうだけど」
「まぁそう警戒すんなって!仲良くしようじゃないか!」
「…………」
龍はじろっと睨みをきかせたまま、わかりやすく柳くんに対抗心をむき出している。

