なんだか急に恥ずかしくなっちゃって、私は龍の頬をパチン!と音がするくらいひっぱたいた。
「ん!?」
驚いてパチッと目を開いた龍。
「朝です。起きてください。そして離してください。」
「え、あ、ごめんなさい。」
ようやく現状に気がついたようで、龍は自分の方に抱き寄せる手をパッと離した。
「んーなんか、夢見てた」
「どんな夢?」
龍がそう言うから、また怖い夢だったのかなと心配する。
「唯が、離れていこうとするから、「ぜってー離さねーぞー!!」って言って、唯を抱きしめて離さない夢。」
ちょっとだけ眠そうに、でも夢の中での発言部分を強調しながら、龍はそう言った。
「……あはっ、なにそれ」
それを聞いて、吹き出すように笑う私。
なんだ、お互い、同じような夢見てたんだ。
「なんで笑うんだよー!」
なんだかおかしくなっちゃって、クスクスと笑う私に、龍が眉をつり上げる。
だって、なんだか嬉しいんだもん。
夢の中でも、お互いちゃんと大切に思い合っていて。
ただの夢かもしれないけど、すごく微笑ましくて、あたたかいなって、そんな気持ちになったんだ。

