弟はドラゴンで




もっと、オバケの夢とか、何かに追いかけられる夢とか、そういう内容だと思った。


また、私がいなくなる夢を見て、そんなに怖がるなんて……。




「怖いに決まってんじゃん。俺は、唯がいなくなることが一番怖い。オバケとか殺人犯とか、そんなの全く怖くないけど……唯がいなくなることだけは、絶対に嫌だ。」




龍がそう言って、一瞬心の中を読まれたのかと思った。


オバケも殺人犯も怖くないって……ある意味最強な気がするけど……。


龍にとって、私はそんなにいなくなってほしくない存在なの?


小学生の時もそうやって、私がいなくなることに対して不安がってたけど……。


今でも、小学生の時と変わらずそんなに不安になってくれるんだ?




「……あのねぇ、いなくなるわけないでしょ。私が。だいたい、龍のこと忘れるとか、どうやったらできんの。気づいた時からずっと一緒にいるんだよ?急に、はい忘れましたーなんてこと、ありえないでしょ。龍のこと忘れもしないし、いなくもならないよ。」


「……ほんと?」




龍が、自分が持ってきた枕をベッドに起くと、体を横にしてからぽすん、とそこに頭を置いた。


私の方をじっと見る龍。




「ほんと。約束。」




私が小指を差し出すと、龍も同じように、ゆっくりと小指を差し出した。


そして嬉しそうに、龍はニコッと笑う。




「うん!」




私たちは指切りをして、約束をかわした。




龍って、いつも元気で明るいイメージがあるけど……


こうやって甘える時も、まだあるんだなぁ。


前みたいに満月見せに飛んでくれた時とは大違い。


あの時は強い男の子なんだなぁっていう感じだったけど。


今は本当に、弟なんだなぁって感じ。