晴れ晴れとしたいい天気の日こそ歌を歌う。
私はそう思って生きてきた。
だから、今日も歌う。
「今日は最近流行りのバンドの曲にしようかな。」
私はiPodに入れてあるバンドの曲を選択し、お気に入りのオレンジ色のヘッドフォンをつけた。
ドラムとギターが音を鳴らす。そしてワンテンポあとからベースが入ってきた。
そして大きく息を吸い込み私は声を出した。
(このバンドのボーカリストの声は私の声よりも少し高くて歌いにくいな。)
けど、透き通る声。力強さも忘れてない。
すごい。
単純にそう思った。
曲も終盤に差し掛かり最後のメロディーと共に音楽が切れた。
「え?」
充電切れ?
iPodを胸ポケットから取り出し、電源を入れた。
いや、つかない。
「…そういえば、昨日充電してないや。」
今日はこれまでにして、帰ってから歌えばいっか。
そう思い、踵を返し、屋上のドアに手をかけた。
バンッ
すごい音共にドアが勢いよく開き、私のおでこに激突した。