「ん、これ」

「んぁ?」


奏に

受け取ったラブレターを差し出すと、

奏はめんどくせぇ、と言いたげに、

眉間にしわを寄せた。


「また、あんた宛のラブレター」

「え、いらね」

「はぁ?

これの処理に私が

どんだけ困ってるか知らないわけ⁉︎」

「知るわけねぇだろ」


こいつ…。


ラブレターを書いた子のことを考えたら、

どれだけそのラブレターを処分するのが

精神的に辛いのか、わからないのかな!?


「はぁ」


私は短くため息をつくと、

奏の考えを知るためにこう問いかけた。


「奏、あのさ」

「ん?」

「あんたのことが好きな子が、

このラブレターを書くために、

どれだけの想いと勇気を

費やしたか、わかる?」

「は?そんなの知らないし」


やっぱり、こいつはダメだ。


「はぁ」


私は再びため息をつくと、

「もういいよ」

と言って、奏宛の恋文を鞄にしまった。