「あの、月島(つきしま)さん」

「ん?」


確か、2組の子。


「これ、

三浦くんに渡してもらえる?」


そう言いながら渡されたのは、

1つの封筒。


……またか。


「ん。わかった。

けど、自分で渡さなくていいの?」

「……」

「想いを人に任せるんだよ?

大丈夫?」

「………」


その子はしばらく黙り込んだ後、


「大丈夫!渡しといて!

というか、私には

自分で渡す勇気なんてないから…」

「ん、わかった。

んじゃあ、渡しとくね」

「ありがとう!」

「うん」


会話が終わると、その子は

自分のクラスへと帰って行った。


(これ、どうしたらいいんだろ…)


小さい頃から、

ラブレターの橋渡しに、

私はよく利用されている。


小さい頃からだからわかるんだけど、

奏にこれ渡しても、

受け取ってくれないんだよね…。

奏、酷すぎると思う。

この手紙を書くのに、

どれだけその子が想いを込めたか、

勇気を出したか…。


奏は、知らない。


私は、人一倍わかる。

だって、私は……。