「桃果」

「晴翔…」


ある金曜日の放課後、

私のクラスに来て声をかけて来たのは晴翔。


「今日、一緒に帰れる?」

「うん…」


私たちは教室を出て、歩き出す。


「……」

「……」


私も晴翔も、黙り込んだまま。


奏への告白事件があってから、

誰かと喋る気力はなく、

休み時間も、友達の話に相槌を打つだけ。


それは、今も同じで。


晴翔が喋ってくれないと、

このまま気まずい沈黙が----。