あしたの星を待っている



警察から知らせを受けて、両親はどれだけ驚いただろう。

病室で眠る私を見て、お母さんはどれほど悲しかっただろう。

私を傷つけないため、そして自分自身が傷つかないために真実を隠すには、多くの苦労と覚悟が必要だったはず。

どれだけ悔しかっただろう。


「……瑠偉くんは、私のこと、汚れてると思う?」

「なに、言ってんだよ」

「だって、私、あの時、」

「汚れてるとか、そんなこと思うわけないだろ。なんだよ、それ。誰が言ったんだよ。間違ってもそんなこと二度と思うな!」


急に立ち上がった瑠偉くんは、こちらに背中を向けた。

優しい瑠偉くん。

お母さんもお父さんも、みんな私を大切にしてくれる。

でも、そうやって私が守られている間に――。



「また、同じ事件が起きているみたい」


振り向いた顔に、変わりはなかった。

瑠偉くんは、それも知っていたんだね。


「花菜はどうしたい?」

「私は……」


どうしたらいいんだろう? 何をするべき?

きっと正しい答えなら分かっているはずなのに、頭の中でぐちゃぐちゃと色んな思いが混ざり合って言葉にならない。

そんな私に瑠偉くんは呆れるでもなく、諭すでもなく、


「何もしなくていい」


と、単調な口調で言った。





とはいえ、私はなんて臆病なんだろう――。

自分があまりに情けなく、自己嫌悪に陥ってしまう。

思えば、私はいつも誰かに言われるがまま、それに従ってきた気がする。

長い物には巻かれろという言葉があるように、明確な意思と力を持った人の言うことを聞いていれば、楽だったからだ。

自分の意思なんて簡単に曲げてきた。


それで結局は苦しくなるんだから、馬鹿だよなぁ。