背中が、ゾクリとする。
みきちゃんが言うには、この夏休みに入ってから瀬戸高の辺りで高校生の女の子が集団に追いかけられる被害が相次いでいて。
だいたいは怖がる女の子をちょっとからかってやるって感じだったのに、それがエスカレートしたのか、ついに襲われた子が出たらしい。
「未遂だったみたいだけどね」
「そうなんだ……」
「そういや、最近、変質者の目撃情報が増えてるって先生が言ってなかった?」
「言ってた言ってた。気を付けなきゃね」
「ま、うちらは彼氏が守ってくれるもん」
ねー、と、みきちゃんが私の肩に手を乗せる。
それに対して、そうだねって笑ってみたものの、私の思考は別のところに飛んでいた。集団に追いかけかれるって、それって2年前の私と一緒……。
「花菜ちゃん、どうかした?」
「あ、ううん。急がなきゃ、七海に怒られる」
喉の奥から酸っぱいものがこみ上げてくるのを、必死で押さえた。
「わー、もうこんな時間? 急ご、急ご」
まさかね、同じ人たちとは限らないでしょ。
でも、うちの地元と瀬戸高の辺りなんて大した距離もなくて、その狭い範囲に同じような手口で女の子を襲う集団なんて他にあるの?
反省を終えて、また同じことを繰り返しているのかもしれない。
そもそも、反省なんてしたの?
あれ、私を襲った人たちってどうなったっけ?
捕まったんだよね? あれ。



