何だろう、しつこいセールスかな。
そういや、前も朝に電話が掛かってきていたような?
セールスなんて大抵は断られるのに、それでも電話を掛けなきゃいけないなんて営業職の人は大変だなぁ。
そんなことを思いながらも制服に着替えて、また下に降りると、お母さんはキッチンに戻っていて、いつもの調子で「いってらっしゃい」と送られた。
「花菜ちゃん、おはよ」
「あ! おはよ、ななちゃん。いつもより早いね」
「今日は早く起きれた~」
学校の最寄り駅のホームで、ななちゃんに会った。
低血圧で朝が苦手らしい彼女は、いつも遅刻ギリギリだから珍しい。
「今日も走り込みかな」「たまにはボール練習したいよ」そんな会話をしながら歩いていると、後ろからドタバタ元気に走ってくる足音が聞こえる。
振り向かなくても鼻歌で分かる、同じくバスケ部のみきちゃんだ。
「おっはよー、2人とも」
「相変わらず、テンション高いな」
「へへー、昨日、彼氏とディズ二ー行ったんだー。ハイ、お土産」
「ありがとう!」
おお、ミッキーのキーホルダーだ。
かわいい。
カバンに付けよーと。
しかし、みきちゃんは彼氏と順調そうだな。
上手く付き合う秘訣を教えて貰おうかな、と、考えていたところで、みきちゃんが思い出したように手を叩いた。
「ねぇ、そういや聞いた?」
「なになに?」
「こないだ、瀬戸高の近くの公園で女の子が襲われたらしいよ」
「え!」



