それだけ言うと、瑠偉くんは窓をピシャリと閉めた。
途端、ザァーという雨の世界にひとり取り残された気持ちに襲われる。
お言葉に甘えようか。
だけど、もうちょっとしたらお母さんが帰って来るかもしれないし、雨も上がるかも。
あぁ、でも寒い。
太ももに張り付くスカートが気持ち悪い。
貸してもらったタオルを抱えたまま、取りあえずお母さんに電話してどれくらいしたら帰るか聞こうと、カバンからスマホを取り出したその時。
ピカッ――――――、
目の前が真っ白になるような稲光が走り大きな雷が近くに落ちた。
と思うくらいの割れるような音と、地響きがして、思わずその場にしゃがみ込んだ。
どうしよう、雷、怖い。怖い。怖い。
「馬鹿か、お前は!」
こっちに駆けてくる足音が聞こえたと思ったら、不意に腕を掴まれ引っ張られた。
顔をあげると髪や肩を濡らした瑠偉くんが、怖い顔でこちらを睨んでいる。
「ほら、早く立て」
「う、うん」
「ったく、だから来いって言っただろ」
「ごめん……」
うちの玄関ポーチから外に出て、隣の家の門をくぐって玄関へ。
たったそれだけの距離で、瑠偉くんは私と同じくらいずぶ濡れになっていた。背中に張り付く色の変わったTシャツを見て申し訳なく思う。
ほんと馬鹿だな、私。
意地張って、結局また迷惑かけて……。
”迷惑を掛けてもいいんだ”
ふと、後藤先生の言葉が頭の中で蘇ったその時、頭からバスタオルを掛けられた。



