駅に到着したというアナウンスが流れ、徐行になった電車の窓から流れるホームに目をやると、ゆっくり止まったところで先輩の姿を見つけた。
以前は私が利用する駅まで迎えに来てくれていたんだけど、朝の貴重な時間に悪いし、電車を合わせれば会えるからと、説得した。
でも、本当は七海と一緒に居たかったりする。
七海は先輩が乗車すると、気を利かせて別の友達のところに行ってしまうんだ。
それが、ちょっと寂しい。
「おはよう」
「おはようございます」
世の中の高校生カップルは、恋人と過ごす時間と、友達と過ごす時間を、どう使い分けているのだろう。
好きになって付き合ったんだから、いつも一緒に居たい。
それは、分かる。
でも、友達と喋ったり笑い合ったりする時間も大切で、今まで行動を一緒にしていたのに、彼氏ができた途端、優先順位を変えるのって違う気がする。
男の人ってそういう感覚ないのかな?
登下校を一緒にするようになった先輩は、昼休みも私を呼び出すようになり。
そのうち、10分休憩ですら、
【いつものところで】
と、ラインが届くようになった。
「はい、これ花菜にプレゼント」
「あ、これって……」
「お揃いのミサンガ。左足出して、付けてあげる」
「あ、足?」
「早く」
ここに乗せて、と指定された椅子の上に左足を出して、その前で先輩が跪く。
かなり、恥ずかしいポーズだ。
結び目を丁寧に、お揃いのミサンガを付けてくれた先輩はゆっくり立ち上がり、私の頭を撫ぜた。
「花菜の髪、良い匂いするね。最近、シャンプー替えた?」
「あ、お母さんが美容院で買ってきて」
「ふぅーん、でも俺は前の方が好きかな。あと、髪の毛をくくるのも好きじゃない。それって他の男にうなじを見せるため?」
「そんなんじゃないですよ! 明日は下ろしてきます」
「そうして」



