あしたの星を待っている



アイスを口に付けるとか子供か! 

そんなツッコミを自分に入れつつ、手で口を拭こうとした。けど、怪我をしているせいで上手くいかない。

そんな私を優しい笑顔で見つめていた先輩が「ここ」と、親指で拭いてくれた。

至近距離で目が合い、どきりとする。


「可愛い花菜に、1つお願いがある」

「何ですか?」


先輩は、うん、と頷いて。

それから、まるで小さい子に言い聞かせるかのような口調でこう言った。


「その手も口も全部、俺のものだから大事にして欲しんだ。勝手に怪我したり、汚したりしないで。そんなことでもう俺を怒らせないでね」


どういう意味……?

口の中のバニラは甘く、しゅわりと溶けた。







「花菜ー、手、大丈夫?」

「平気! 処置が良かったみたいで腫れも引いたよ」


翌朝、突き指をした手は嘘みたいに治っていた。痛みもほぼない。

それもこれも先輩のお陰だ! と、電車の中で昨日のことを七海に話すと「なるほどなぁ、年上はいいなぁ」と感心したように頷く。

さては、七海の片思いの相手は同級生、もしくは年下なんだな。


「でも、ちょっと怖いところもあるんだよね」

「それは、花菜が男性恐怖症だからでしょー」

「そうだけど、なんていうかちょっと重い? いや、重いっていうか、うーん」


惚気てんじゃないよ、と叩かれてしまった。

ちょうど電車が急ブレーキをかけたところで、盛大によろける。


「違うんだよ、上手く説明できないんだけど」

「はいはい、贅沢言わないの。ほら、旦那様が乗って来るよ」