アイスを口に付けるとか子供か!
そんなツッコミを自分に入れつつ、手で口を拭こうとした。けど、怪我をしているせいで上手くいかない。
そんな私を優しい笑顔で見つめていた先輩が「ここ」と、親指で拭いてくれた。
至近距離で目が合い、どきりとする。
「可愛い花菜に、1つお願いがある」
「何ですか?」
先輩は、うん、と頷いて。
それから、まるで小さい子に言い聞かせるかのような口調でこう言った。
「その手も口も全部、俺のものだから大事にして欲しんだ。勝手に怪我したり、汚したりしないで。そんなことでもう俺を怒らせないでね」
どういう意味……?
口の中のバニラは甘く、しゅわりと溶けた。
*
「花菜ー、手、大丈夫?」
「平気! 処置が良かったみたいで腫れも引いたよ」
翌朝、突き指をした手は嘘みたいに治っていた。痛みもほぼない。
それもこれも先輩のお陰だ! と、電車の中で昨日のことを七海に話すと「なるほどなぁ、年上はいいなぁ」と感心したように頷く。
さては、七海の片思いの相手は同級生、もしくは年下なんだな。
「でも、ちょっと怖いところもあるんだよね」
「それは、花菜が男性恐怖症だからでしょー」
「そうだけど、なんていうかちょっと重い? いや、重いっていうか、うーん」
惚気てんじゃないよ、と叩かれてしまった。
ちょうど電車が急ブレーキをかけたところで、盛大によろける。
「違うんだよ、上手く説明できないんだけど」
「はいはい、贅沢言わないの。ほら、旦那様が乗って来るよ」



