「何アイスが好き?」
スマホをこちらに向けた先輩は、軽く拳を作った手をこちらに向け、おどけたようにインタビュアーの真似をする。
また動画を撮っているらしい。
「実は、私、シャーベットが好きなんです」
「へぇ、俺も」
「味はどれが好きですか? せーの、」
「「レモン!」」
声が重なって思わず笑う。
駅前のコンビニでレモンシャーベットと、それから2番目に指さしたのも同じだったバニラアイスを買って、駐輪場のブロック塀に腰掛けた。
陽が陰った午後でも気温は高く、ビニール袋に付いた水滴が指を濡らす。
「美味しい」
「あ、先にレモン食ったな。ずるい奴め」
「ちゃんと半分こしますよ」
「いいよ、好きなだけ食べな。バニラもどうぞ」
甘くて、しゅわしゅわ。
欲張って口に入れ過ぎたせいか、頭がキーンとして俯いた先、先輩の足元が見えた。
制服のズボンの裾を数回折って、ロールアップしている。
「ミサンガ、可愛いですね」
「あぁ、これ? 願掛けしてるんだ」
「へぇ、どんな?」
「それは、内緒」
「えー」
さっきの先輩はちょっぴり怖かったけど、今はもういつもの優しい先輩。
怒っても引きずらない人なのかな? あれだけで許してくれるなんて心が広いんだなぁ。というか大人だな。
瑠偉くんなんて1度怒ったら、どんなに謝ってもその後はずっと不機嫌で。
機嫌を直してくれるまで大変だった。
「花菜? バニラ要らないのか?」
「あっ、わっ、ちょっとください」
私ってば、先輩といるのに。
どうして瑠偉くんのことを考えているのだろう。
「口に付いてるよ」
「え、どこ」



