『遠すぎ、まだ?』
『もうちょっとだってば、あ、この次の駅だよ』
『で、駅ついたらどれくらい歩くの』
『20分くらいかなぁ』
『はぁ?』
『大丈夫だよ、瑠偉くんの足ならすぐ着く、』
『俺より花菜の方が心配なんだけど』
瑠偉くんの予想通り、途中で足が痛くなった私は、彼におんぶしてもらいながら家に帰った。手には彼の大事なカメラを握りしめて。
来年もまた来ようと話していたよね。
だけど、結局、その翌年も、よく翌年も来られなかった。
実に5年ぶりのススキ畑――――。
「あ、れ……」
嘘でしょ? 無い、ススキ畑がどこにも無い。
もしかして、場所を間違えた? いや、でも確かにこの場所で合っているはずなのに、畑はおろかススキの1本すら生えておらず更地になっている。
「マンション建設予定地って書いてるな」
「そんなぁ」
せっかくここまで来たのに、それはないよ。
がっくり項垂れていると、
「ふ、ふはは」
隣にいる瑠偉くんが、笑いだした。



