あしたの星を待っている



最近、この2人は仲が良い。

中津くんが一方的に黒沢さんに想いを寄せているような気がしないでもないけど。実際、邪険に扱われてるし。

だけど、チャラそうに見えて実は優しくて頼りがいのある彼が、実は脆くて傷つきやすい黒沢さんの支えになってくれたらいいなって。

勝手ながら、そんな風に思っている。


「ていうか、今日、矢吹くんは?」

「後藤先生に頼みごとをされて、居残り」


テスト期間が近づき、短縮授業になっているため学校は午前中で終わる。

部活も無いから生徒は校舎から追い出させるるわけだが、帰れない人もいるのだ。


「また? どんだけ良い人なの」

「断れない性格なんだよね、瑠偉くんって」

「分かる、優しいもんね」

「「ぶっきらぼうだけど!」」


同時に同じことを言って、思わず吹き出す。

ひとしきり笑ったところで、どんより疲れた様子の瑠偉くんが店に入ってきた。

おーい、と中津くんが手を振って、目が合った瞬間、優しい笑みを見せてくれる。

こちらには直接来ず、先にレジカウンターへ注文をしに行った瑠偉くんを見届けた黒沢さんは、「さて、行くよ」と中津くんと頷き合って席を立った。


「あれ、あいつらは?」

「帰ったよ」

「は? 人がせっかく来たというのに」

「うん。ごめん。私がお願いして帰って貰ったんだ」

「花菜?」

「付き合って欲しいところがあるんだけど、いいかな」