あしたの星を待っている



そう、楽しい。

葉山先輩の家で証拠の動画を見つけた夜、病院に一晩入院になった私は、付き添ってくれたお母さんとじっくり話をすることができた。

『事件について全部、知りたいの。見えないものに怯えるのはもう嫌』

『花菜がそんな風に思っていたなんて』

この2年間苦しんでいたのは、私だけじゃなくてお母さんも同じ。

『ねぇ、お母さん。私と一緒にカウンセリング受けない?』

お母さんは初めびっくりしていたけど、了承してくれた。

すぐに頷くとは思ってなくて意外だったけど、今は久々に親子で本音で語り合えるのが楽しい。

そして、意外といえば。


「葉山先輩、去年と今年の事件に関しては無関係だったんだね」

「アリバイがあったんだろ?」

「うん。どっちもその頃は別荘に行ってたみたい」


これだからお坊ちゃんは、と中津くんが大げさに両手を広げる。

その手がまたも黒沢さんに当たり睨まれるも、気にならないのかしれっとした顔で会話を続けた。


「ミサンガは、捕まった植田のものらしいぜ」

「模倣犯だってね、やることがダサいわ」


植田っていうのは地元グループの1人で、先輩がグループを抜けたあと仕切っていた人らしい。

女の子を襲って、もし見つかった時のことを考え、先輩がいつもつけてたミサンガを現場にわざと残していたというから、ダサいを通り越えてキモい。

そう言うと、黒沢さんと中津くんがお腹を抱えて笑った。


「花菜ちゃんって、たまにすっげー毒舌だよな」

「ほんと、可愛い顔してね」

「可愛いのは、紗友里ちゃんもだよ」

「やめてよ、さっきからウザいわ。勝手に名前で呼ぶな」

「お褒めに預かり光栄です」

「褒めてないわ」