ひとり残った私は、スマホの画面を見つめていた。
ここは駅前の広場で、前に先輩と一緒にアイスを食べたところだ。自転車置き場の端に腰を掛けて、あの時はこんな風になるなんて考えもしなかった。
電話で済ませるなんて、卑怯かもしれないけど。
さすがに会うのは無理だから。
と、その時、スマホの待ち受け場面にメッセージが浮かんだ。
送り主は、葉山先輩。
―――花菜へ
すこし長くなるけど、最後まで読んでほしい。
もう気が付いていると思うけど、2年前、花菜を襲ったのは俺たちだ。その中の1人に強要して花菜を追わせた。
初めは軽い気持ちだったんだ、ちょっと怖がらせたところで助けに入ってヒーロー気取りで花菜に近づけたら、と。
でも、花菜に大怪我を負わせる結果になり、びびった俺は父親の力を使って罪から逃れた。その後、花菜と再会した時は、真相がバレるんじゃないかと焦った。
それで、北野を使って監視させていたんだけど、ずっと見ているうちに本気で花菜を好きになってしまったんだ。
告白をOKしてくれた時は、マジで嬉しかった。
大事にするって言った言葉は、本音だった。
だけど、付き合っているうちに独占欲が抑えられなくなって、どうしたら花菜を独り占めできるか、征服できるか。そんなことばかり考えるようになった。
当然といえば当然だけど、そんな俺のことを花菜が好きになってくれるはずもなく、花菜の心の中には他の誰かが居るってことに気が付いていたよ。
それで最後にあんな酷いことをした。
いっぱい傷つけてごめん、辛い思いをさせてごめん。
2年前のこともごめん。
どうか次は、俺なんかよりもっとまともなやつと付き合って。
幸せになってください―――



