瑠偉くん、七海にそんなこと言ってたんだ。
気に掛けてくれてたのは嬉しいけど、それは言っちゃいけないよ。
だって、七海は瑠偉くんのことが好きだったはずだから。
「七海、私、」
「同情とか要らないから。私、あんたに謝るつもりないし、今後も仲良くするつもりもない。話がそれだけなら帰る」
「待って、私、葉山先輩と別れようと思う」
「好きにしなよ」
「それだけじゃないよ。2年前のことも含めて警察に全部話そうと思ってる。七海がどこまで関わっているか知らないけど……覚悟しててね」
「脅すつもり?」
「七海にされたこと、私も許すつもりない。確かに私は自分のことばっかりでイラつく言動もいっぱいあっただろうけど、七海のやり方は卑怯だと思う」
手が震える。
「でも、私はそれでも友達だと思ってるから。それだけ伝えたかった」
黒沢さんが聞いてたら、お人好しって言われるかも。
瑠偉くんは、呆れるかも。
だけど、私は七海と一緒にいて楽しかったこと、嬉しかったことの全部が嘘だったとは思えない。
悩みを聞いてくれたり、励ましてくれたり。
その逆も。
全部、嘘じゃない。
「……ほんと、バカ」
呟いた七海は涙目で、何か言おうとしたけど、結局はそれ以上何も言わず帰って行った。



