あしたの星を待っている



瑠偉くんが、私を見ていた? ずっと?

そんなの全然気が付かなかった。

目すら合わないと思っていたのに、その逆だったなんて。


「初めはね、矢吹くんと仲良くなって夕里さんのことを聞きだそうと思ったの。でも、彼って用心深いのね。あなたのことを探るどころか、逆に怪しまれちゃった。それで開き直って全部話したの」


全部って? て聞くと、黒沢さんのお兄さんの件から全て話したという。

瑠偉くんはその話を聞いて2年前の事件に興味を持ち、私に危害が及ばないことを条件に手伝ってくれていたそうだ。

それなのに、結局は私が1人で先輩宅に乗り込むことになって、しかもそれを内緒にされていたことに相当怒ったらしい。


「私はてっきり2人が付き合ってるのかと」

「そう思わせるのも目的だったの。もしかしたら夕里さんがやきもちをやいて、先輩との仲がこじれてらいいなって」

「黒沢さんって、すごい策士なんだね」

「自分でも思う」


私がもし黒沢さんだったら、なりふり構わずだったと思う。

だけど、彼女は冷静に頭を使って、じわりじわりと先輩を追い詰めていった。

そこにはもちろん多くの人の協力があったわけで、自分1人の力では成し遂げられないということを知っていたからこそ策を投じた。


「すごいよ、ほんと」