黒沢さんと山岡さんは今回が初対面のようだけど、電話で話をしたことがあるらしく、その時のことについて2人で少し会話をしていた。

本当に私と同じ被害者なんだ。

そう言われてみれば、思い当たるところがいくつある。

前の学校を中退したことや、今の学校でカウンセリングを受けていることなど。

だけど、彼女はいつも毅然としていて、私みたいにビクビクしていない。

きっと、今回の取材だって迷うことなく応じたんだろうな……。

強い人だ。


「いやぁ、でも君たちが知り合いで助かったよ。おかげで夕里さんにも話が聞けるんだから」

「私? えっと、」


あ、そっか、瑠偉くんだ。

山岡さんと話がしたいけど名刺が無いと言ったとき、瑠偉くんは分かるかもしれないと言って家を飛び出していった。

きっと、それは黒沢さん伝いで。

彼女もこの一連の事件の被害者だってこと、知っていたんだね。

いや、相談されていたといった方がいいのかな。

でも、それって何だか――――。


「実はまだ2人に聞いてないことがあってね、」


不意にもったいぶった言い方をした山岡さんは、足元に置いていたカバンを広げて中から透明のビニール袋を取り出した。

刑事ドラマで何かでよく見る、証拠品を入れた袋みたいだ。