あの頃は、今よりも沢山笑えていたのだろうか。
辛い時にふとそう思うことがある。母はどうやってこの辛いことを乗り越えて生きていたのだろうか。そんな質問はもう聞くことが出来ない。
「ほら行くぞ琴音」
母がいないこともあって、兄とは仲がいいほうだと思う。
羨ましいことに兄は成績も良く、学校ではモテているそうだ。
…家ではモテる要素など一欠片もないってのに。
『行ってきます』
そう行って外に出た。
いよいよ、中学生になれる。
そんな気持ちが湧き上がってきた。
「お前さ、初日から兄貴と行くっておかしいだろ。親友の本田ちゃんとは行かねーの?」
『夏沙は合流するよ、校門の前でだけど。お兄ちゃんこそ一緒に行く女の子はいないんだ?』
私がそう嫌味を言うと、兄は軽く舌打ちをし
た。
「ふーん、じゃ、琴音は3年になったら毎朝一緒に学校へ登校するようなラブラブな彼氏がいるんだな?」
クラスメイトみたいに掛け合いをする兄弟として小学校の時もみんなに知れ渡っていた。
現時点では、私も兄もその話に文句はなかった。
『なっ、そんなことは言ってない!ただお兄ちゃんはそれなりにモテてるのに』
「“それなりに”は余計だな。んじゃ校門着くから俺はここでさよならー」
兄は得意なウザイトーク力で私のやる気を押し沈めた上に、私のおでこにデコピンを食らわせた。朝からとんだ災難だよ、お兄ちゃん。
「おはよーこと」
溜息をつきながら歩いていると、なずなが立っていた。
少し色の薄いその髪は、ポニーテールで結ばれた先っぽでくるりと巻かれていた。
『なっちゃん!おはよ。巻いたんだ!似合ってる』
そんな挨拶を交わして、クラスが分かる掲示板へ2人で向かった。
掲示板の前には人だかりが出来ていて、その中には見覚えのある顔もあれば、初めて見る人も多くいる。
「ねぇこと!一緒のクラスやで!!」
夏沙の嬉しそうな声に、私は飛び上がるほど喜んだ。
『ほんと!?良かった〜』
この時はこれから始まる中学校生活、困ることがあるとは思えなかった。
辛い時にふとそう思うことがある。母はどうやってこの辛いことを乗り越えて生きていたのだろうか。そんな質問はもう聞くことが出来ない。
「ほら行くぞ琴音」
母がいないこともあって、兄とは仲がいいほうだと思う。
羨ましいことに兄は成績も良く、学校ではモテているそうだ。
…家ではモテる要素など一欠片もないってのに。
『行ってきます』
そう行って外に出た。
いよいよ、中学生になれる。
そんな気持ちが湧き上がってきた。
「お前さ、初日から兄貴と行くっておかしいだろ。親友の本田ちゃんとは行かねーの?」
『夏沙は合流するよ、校門の前でだけど。お兄ちゃんこそ一緒に行く女の子はいないんだ?』
私がそう嫌味を言うと、兄は軽く舌打ちをし
た。
「ふーん、じゃ、琴音は3年になったら毎朝一緒に学校へ登校するようなラブラブな彼氏がいるんだな?」
クラスメイトみたいに掛け合いをする兄弟として小学校の時もみんなに知れ渡っていた。
現時点では、私も兄もその話に文句はなかった。
『なっ、そんなことは言ってない!ただお兄ちゃんはそれなりにモテてるのに』
「“それなりに”は余計だな。んじゃ校門着くから俺はここでさよならー」
兄は得意なウザイトーク力で私のやる気を押し沈めた上に、私のおでこにデコピンを食らわせた。朝からとんだ災難だよ、お兄ちゃん。
「おはよーこと」
溜息をつきながら歩いていると、なずなが立っていた。
少し色の薄いその髪は、ポニーテールで結ばれた先っぽでくるりと巻かれていた。
『なっちゃん!おはよ。巻いたんだ!似合ってる』
そんな挨拶を交わして、クラスが分かる掲示板へ2人で向かった。
掲示板の前には人だかりが出来ていて、その中には見覚えのある顔もあれば、初めて見る人も多くいる。
「ねぇこと!一緒のクラスやで!!」
夏沙の嬉しそうな声に、私は飛び上がるほど喜んだ。
『ほんと!?良かった〜』
この時はこれから始まる中学校生活、困ることがあるとは思えなかった。