やっぱり車は無理だ。


そう思っても、どう伝えていいのかがわからなかった。


突然そんなことを電話で言えば、西田さんの事を信用していないことがバレてしまう。


「どうしよう……」


デートへ行く準備を終えたあたしは、部屋の中をぐるぐると歩き回っていた。


約束時間まであと1時間を切っている。


そうすれば西田さんは家の近くのコンビニまで迎えに来る予定になっていた。


さすがに、家の場所までは教えられなかった。


考えている最中に真由から連絡が入った。


《大丈夫そう?》


真由もあたしのことを気にしてくれているようだ。


《大丈夫じゃない。車に乗って移動するのが不安》


《やっぱりそれで悩んでたんだね。それじゃ車を置いて徒歩で移動すればいいよ》


徒歩。


その考えはなかった。