「父はオルキスの所に話をしに行くのでしょ? 私も着いて行くことは……ジャンベル城なら、やっぱり無理よね」
話し合いがジャンベル城のどこかで行われるというなら、余計自分は連れて行ってもらえないだろう。
そう気落ちするリリアを見て、オルキスは苦笑いを浮かべる。
「無理じゃない。リリアは果たさねばならぬ役目があるはずだ。忘れたのか?」
「私の果たすべきこと?」
オルキスの隣で、母が愛していたというモルセンヌを見たい。
モルセンヌの地でやり遂げたいと強く思うことはあれど、自分の役目と言われると何も思いつかず、リリアは困ってしまう。
仕方ないなといった様子で、オルキスは話を続ける。
「王子と会おうとするなら、必然的に城に足を踏み入れることになる」
「……そっか……王子様か」
自分の髪に触れながらため息を吐いたリリアに、ついオルキスは眉根を寄せた。
「私、やっぱり王子様に会わないとダメかしら……ほら! 父を連れて行けば、オルキスは王子様に怒られなくて済むでしょ? それに、いくら髪と目の色が予言とぴったりだったとしても、私みたいな田舎娘が……」
「もういい、分かった」