そして予告もなしにリリアを抱き上げる。
「……えっ!? オ、オルキス様!?」
突然横抱きされたことに戸惑うリリアに、オルキスが意地悪く囁きかける。
「重いが部屋まで運んでやる。ありがたく思え」
「なっ! 結構です! 私、もうちゃんと歩けますから!」
「ほら動くなって……わっ!」
その瞬間、オルキスの身体がよろめいた。
投げ出されてしまいそうな予感にリリアは小さく悲鳴を上げ、広い肩へと手を回す。
しかしオルキスは口元に笑みを浮かべたまま、ゆったりとした動きでくるりと一回転をする。
からかわれたことに気が付いて、リリアは頬を膨らませた。
「もうっ! オルキスったら!」
オルキスは楽しそうにもう一回転した後、リリアを抱えて走りだす。
リリアは再び驚きの声をあげるも、それは次第に笑い声へと変わっていった。
楽しそうに響くリリアの笑い声に、セドマやアレフ、マルセロにボンダナも笑みを浮かべ、仲睦まじいふたりとすれ違った者たちも皆一様に、表情を明るくさせていく。
そして思わずにはいられない。
まさに運命に導かれ出会ったふたりだと。
王子と娘。
華やかで純真な恋は、永遠に。
END


