次期国王はウブな花嫁を底なしに愛したい


ほんの少し肌寒さを感じリリアがくしゃみをすると、オルキスは心配そうな顔で、椅子から立ち上がった。


「リリア、部屋に戻るぞ」

「えっ……でも」


セドマは紅茶の二杯目を断ったため座っているだけの状態であるから構わないかもしれないが、アレフは三杯目を注いでもらっている所で、ボンダナはパイにむしゃぶりついている最中だ。

さすがに今、席を立つのはリリアの気が引けた。


「あとは勝手にやるだろう。気にするな」


しかしオルキスは二人を見つめながらきっぱり断言し、リリアに手を差し出した。


「リリアに風邪を引かれたら、俺が困る」


リリアは笑みをこぼしたのち、「分かりました」とオルキスの手に自分の手を重ね置き、椅子から立ち上がる。


「それでは失礼する」


オルキスは席に着いている三人へと優雅にお辞儀をしてみせてから、リリアの手を引き歩き出した。


「やっと二人っきりになれた」


聞こえた独り言にリリアがくすくすと笑っていると、不意に、オルキスの歩みがとまった。

つられてリリアも足を止め、口元に笑みを湛えたまま見上げると、オルキスの笑みが深くなる。